印鑑の知識

=== 個人用印鑑登録 ===

実印と認印
実印とはあらかじめ市区町村長に登録がしてあり、印鑑証明書の交付を受けられる印鑑をいいます。
認印とは実印以外の印鑑をいいます。認印は何個あってもかまいませんが、実印は一人に一個に限られています。官公庁に対し登記や登録をする場合、あるいは個人でも重要な契約を交わす場合などには、相手方から実印で押印するよう要求されることがあります。
実印は印鑑証明を添付することによって、その印鑑が確かに本人の印鑑であるということを、公的にしかも速やかに証明する事ができるためです。

印鑑登録できる印鑑・できない印鑑
印鑑登録は住民登録をしてある市区町村役場や出張所に登録しようと思う印鑑を持参し、備え付けの申請書に必要事項を記載して申請します。
その際に本人であることを確認できる運転免許証などを持参します。
登録から証明書交付まで早い所ではその日に交付も可能な都市もありますが、二日以上かかる場合もあります。
登録できる印鑑にはいくつかの条件があります。

印鑑登録ができない印鑑
・氏名を全く表していないもの(姓または名だけでも可)
・職業、資格、生年月日、本籍地など、氏名以外の事項があるもの
・印影の範囲(8mmの正方形に収まるもの、25mmの正方形に収まらないもの)
・印影が不鮮明なもの
・ゴム印・消しゴム印などの変形しやすいもの
・大量生産されて、同一の印影が多数存在されると思われるもの
・外枠が4分の1以上欠けているもの
※尚、市区町村役場により異なる事がありますので、登録される市区町村役場にてご確認ください。

=== 法人用印鑑登録 ===

代表者印の登録
会社を設立する時や体表取締役に変更があった場合などには、代表者の登記申請とともに代表者印を登記所に届け出ます。
会社の代表者印として法務局に印鑑届けをする印鑑は次の条件を満たしていなければなりません。
・印鑑の大きさは、一辺が10mmを越え30mm以内の正方形におさまるもの
・照合に適するものであること
・印影が不鮮明なもの
・著しく複雑なために、照合に識別が困難なもの
※尚、法務局により異なる事がありますので、登録される市区町村役場にてご確認ください。

代表者印の印影
中に刻む文字(中文字)は何でもよく、「代表之印」という文字は必ずしも必要ではありませんが、通常は「代表者之印」と刻む事が多いです。会社の銀行印は「銀行之印」として代表者印と別々に保管するのが一般的とされております。

会社の資格証明書
会社の商号や本店および代表取締役の氏名・住所など登記事項について確かに登記のある旨を法務局が証明するもので、正式には「登記事項に変更およびある事項の登記がないことの証明書」といいます。通常、代表取締役の資格を証明するのに用いるため、会社の資格証明書と呼んでいます。商業登記簿謄本があれば資格証明書のかわりになります。

=== 『はんこの雑学』 ===

日本最古の金印?
金印(きんいん)は、黄金で作られた印です。古代中国では、諸王・諸侯・御史大夫などが持っていたとされています。
そして、福岡市東区志賀島で発見された、日本最古の金印は、「漢倭奴国王印(かんのわのなのこくおうのいん)」といいます。
「漢委奴国王」の印は、西暦57年に後漢の光武帝が奴国王帥升に与えたものと言われております。
これには、「漢委奴国王(かんのわのなのこくおう)」と刻まれております。

朱肉の始まり
朱色の印肉。中国宋代の頃より、朱肉(しゅにく)が誕生したと言われております。それ以前は泥を用いていたらしく、朱肉の別名が印泥であるのはその由来からきたようです。また、古代中国では、朱色は《高貴》の象徴でした。その他に《祝》などの意味も含んでいるそうです。

封緘(ふうかん)て?
封筒の裏の封をしたところに読めない漢字の印鑑が捺してあるのを見たことはありますか?どんな意味があるのでしょう。
どうやら、行書体という書体で、【緘:かん】と捺してある場合が多いようです。
これは、『担当者以外開封禁止』との意味があるようです。
手紙や文書などの封を閉じる「封」、手紙・書類などの封じ目(または、書く文字)の「緘」、封じることを意味しているそうです。

花押の印
花押(かおう)と言っても、押し花ではありません。古文書で、自分の発給したものであることを証明するために書く記号です。本来は、自署に代わるものでしたが、鎌倉時代以後は署名の下に書かれることも多くなりました。室町時代頃からは、印章として捺すものも現れました。花押の起源は自署の草書(そうみょう)体にあります。ちなみに、「押」という字には署名するという意味があり、つまり「美しく署名したもの」という意味になります。

東京発、ベンテンツゲ?
薩摩(今の鹿児島県の西部にあたる)で有名な柘(黄楊・柘植:ツゲ科)ですが、なんと!東京都の「御蔵島」でも伐採されています。「御蔵島」に見られる柘は、葉が大きくて厚く、樹高5mもの大木になり、ベンテンツゲといわれています。この名前の由来は、御蔵島産の柘が、江戸時代に女性の櫛の材料に使われたときに、その材質、木虜の美しさが大奥女中達を魅了したことからと言われております。
密度が高く硬質で、艶やかな柘は古くから愛されていたようですね。
ちなみに、はんこ屋さん21の本柘は、冒頭で述べた鹿児島県産、薩摩本柘(さつまほんつげ)です。

落款印ってどんな印?
年賀状や書画、掛け軸などに捺してある、風流な味わいのある印・・落款印(らっかんいん)。
落款とは、落成款職(らくせいかんし)の略語であり、書画作品が完成した時に、作成日や作者名を記すもの、またその行為を言います。そして、捺される印そのものを落款と呼ぶこともあります。
書画作品では、落款印を捺す場所にもそれぞれの意味があります。
また、落款印のひとつ、雅印(がいん)は、「雅号の印」とも呼ばれております。自筆の書の作品などに捺すための「自分の雅号を刻した」印章です。そして、篆刻(てんこく)というのは、篆書を刻むことで表現する印章(印材に、篆書体の文字を刻する)を言います。
「遊戯の印の意」を持つ、自身の名前や号を用いず、好きな語句や吉語を彫った印に、遊印(ゆういん)という印もあります。遊印は、文人などが書画の落款の下などに捺すこともあるようです。
・・・はがきや年賀状に「味のある落款印」を捺して、贈るのにも趣がありますよね。落款印は、当店でも御愛好いただいている商品です。

お札と はんこ の印影?
お札に、はんこの「印影」がプリントされているのをご存知ですか?
さてさて。この「印影」はたしてなんて読むのでしょう?
実は、お札の表には、「総裁之印(そうさいのいん)」、その裏には「発券局長(はっけんきょくちょう)」との印影が押されているのです。

桐箱に捺印で証?
美術品、工芸品の桐箱などに小さい印が捺してあるのを見かけたことがありますか?なかには、箱の上下がわかるように捺してあることもあります。「著名捺印をもって証」・・捺印は作者の証として捺したり、作品や箱の内容を証明するために捺したりするようです。

蔵書に印を捺す
「蔵書」とは、書物を所蔵していることや、書物を意味します。そして所有を明らかにするために蔵書に捺した印影は、蔵書印(ぞうしょいん)と呼ばれております。書物の初めの扉の頁、もしくは最後の頁に捺印することが一般的です。これら蔵書には印文や形は多種多様あります。歴史は深く、江戸時代頃に書物が普及するようになってから、独自の印影が作られるようになったという説があります。
古書にみえる、蔵書印は「此の本の歴史」と言っても過言ではないでしょう。

「はんこ」と世界?
西洋から伝わってきた「はんこの制度」。なんと「旧約聖書」の中にも、実印や認印の制度のくだりが『40箇所』ほど散見されているのです。現在、世界で「はんこ」を使用しているのは日本・中国・台湾・韓国の4ヶ国、中国では公印のみの使用です。世界中に広がり、受け継がれた「はんこ」には、書にも印影にも趣きがあります。

変わったはんこ、珍印?
鎌倉時代にあった「筆軸印」は、その名の通り、筆の軸先に朱(または墨)をつけて捺印していたようです。軸先は、加工されることはなく、印字のない普通の筆です。どうやら、当時の役人の「記録確認」の役割をしていたようです。

はんこ屋さん21本部資料より